健診結果の見方シリーズ②血糖
毎年受ける健康診断ですが、健診結果の判定に疑問を覚えたことはないでしょうか?「要精密検査」と書かれているから病院を受診したけれど、特にやることはないと言われて治療もなかった――そんな経験はありませんか。各検査項目について、どのような所見ならどんな対応が必要かを、産業医の視点で説明します。今回は「血糖」について取り上げます。
血糖とは?
糖分は体を動かすために必要なエネルギー源です。食べ物から吸収され、ブドウ糖まで分解された形で血液中に取り込まれます。
血液中の糖分の濃度を表したものが「血糖」と呼ばれる項目です。
体にとって必要なエネルギー源ですが、過剰になると体に害を及ぼします。糖分の過剰摂取などで血糖が高くなった状態が糖尿病です。糖尿病は動脈硬化のリスクを高め、脳梗塞や心筋梗塞などの発症率が上昇します。また、目や腎臓、神経にもダメージを与え、失明や腎不全、神経障害の原因となります。
健診で測定する血糖関連の指標
健診では主に「血糖」と「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」の2つを測定します。
血糖は、採血を行った瞬間の血糖の高さを示す数値です。血糖は食事の影響を大きく受け、1日の中でも変動します。そのため、食事の影響が小さくなる空腹時に測定するのが一般的です(空腹時血糖)。
一方、HbA1cは採血時点の血糖ではなく、過去1〜2か月間の血糖値の平均的な傾向を示します。したがって、普段の血糖コントロールを確認するのにより適した指標です。
血糖に関する基準値は以下のとおりです。
- 空腹時血糖:99mg/dL以下
- HbA1c:5.6%未満
空腹時血糖100〜125mg/dL、またはHbA1c 5.6〜6.4%は境界型(予備群)、
空腹時血糖126mg/dL以上、またはHbA1c 6.5%以上は糖尿病型と分類されます。
これらの基準に基づき、
- 空腹時血糖126mg/dL以上が2回以上確認される場合
- または空腹時血糖126mg/dL以上かつHbA1c 6.5%以上の場合
に「糖尿病」と診断されます。
血糖が高めだったらどうすればいいか
健診で血糖が境界型と分類された場合は、後述する生活習慣の改善を行い、3〜6か月後を目安に再検査を受けましょう。
血糖の上昇傾向がなければ再検査の間隔を延ばしても構いませんが、上昇傾向が続く場合は短い間隔で再検査を続けましょう。
健診で血糖が糖尿病型と分類された場合は、早めにお近くの内科を受診してください。生活習慣の改善も同時に始めましょう。
血糖が高いときの生活習慣改善
血糖を下げるための生活習慣改善は、まず食事からです。
間食や糖分を含む飲料をよく摂取している場合は控えめにしましょう。
糖分というと甘いものを思い浮かべがちですが、炭水化物も体内で分解されて糖分となり、血糖を上げます。
米や小麦などの摂り過ぎにも注意し、炭水化物過多にならないよう食事のバランスを意識しましょう。
運動も大切です。特に有酸素運動が有効で、ウォーキングなどを取り入れるのがよいでしょう。
強度は「終わったときに少し息が上がる程度」、時間は「30分程度」が目安ですが、最初は15分程度からでも構いません。
血糖は体重とも相関します。食事や運動に気をつければ体重も自然と減ることが多いですが、定期的に体重を測り、コントロールの経過を確認しましょう。
飲酒も血糖に影響します。アルコール飲料には糖分が含まれていることが多いため、飲み過ぎに注意し、適量を守るようにしましょう。
専門医受診を考える基準
糖尿病は内科疾患で、多くの内科医が基本的な対応は可能です。
軽症のうちは一般内科の受診で十分ですが、通院が続かなくなるくらい遠方の専門クリニックよりも、通いやすい内科を選ぶことをおすすめします。
ただし、病状が進行して薬の種類が増えた場合などは、糖尿病専門医の受診を検討しましょう。
目安として、HbA1cが8〜9%程度になってきた場合や、血糖が急上昇した場合は専門医受診を考えるとよいでしょう。
判断に迷うときは、会社の産業医や保健師に相談するのも良い方法です。
その考え方、ちょっと待って!
「症状がないからまだ大丈夫」
「糖尿の薬は一度飲み始めると一生やめられないから、まだやめておこう」
――この考え方は危険です。
無症状の裏で動脈硬化は着実に進行しています。詳しくは別の記事で説明します。
まとめ
健診で血糖が高めだった場合は、まず生活習慣の改善に取り組みましょう。
値によっては医療機関を受診し、適切な対応を行うことが大切です。
症状がないからといって油断せず、早めの対応が健康維持の鍵となります。
