メンタル不調での休職―休むべきかどうか
「会社に行くのがつらい」「心身ともに限界」――そんなとき、会社に行き続けるべきなのか、休むべきなのかどうか迷われる方は少なくありません。
無理をして出社し続けると、症状が悪化して長期の休職につながることもあります。一方で、「休むと会社に迷惑をかけるのではないか」「どのように伝えればよいのか」「一度休むともう仕事に戻れなくなるのではないか」と不安を感じて、なかなか踏み出せないこともあるでしょう。
この記事では、産業医として多くの方の相談を受けてきた経験をもとに、メンタル不調時に会社を休む判断をするときの基本的な考え方のポイントをまとめます。
休む判断の基準
結論から言えば、以下のような状態が続いている場合には「休むことを検討すべき」です。
・出社しても仕事に集中できず、作業がほとんど進まない
・強い不安や気分の落ち込みが数日以上続いている
・不眠や食欲不振など、体の不調がメンタルの不調に重なっている
・通勤や職場に向かうことが気が重く、強く負担に感じている
「休むこと=甘え」ではありません。心身のエネルギーが低下している状態で無理に働き続けると、さらに状態が悪化し、悪化後は休んでも復帰までに時間がかかることがあります。早めに休むことは、むしろ回復を早めるための前向きな選択です。
無理をしないほうがよい理由
産業医として多くの相談を受けるなかで、次のようなケースを経験してきました。
ある方は、体調が悪いのに「迷惑をかけられない」と出社を続けた結果、体調はさらに悪化し、とうとう会社に来られなくなり、回復までに半年以上の休職が必要になってしまいました。一方で、別の方は早い段階で「休みたい」と上司に伝え、数週間の休養で回復してスムーズに復帰できました。
この違いを生むのは、「早めに休む判断ができたかどうか」です。
調子が悪ければ悪いほど、回復までに時間を要します。また、体調が悪いと判断力も弱くなり、どうすれば早くよくなるか正しい判断がしにくくなります。不調を感じたときには早めに休むことで、体調のさらなる悪化を防ぎ、短い休みでまた復帰できます。会社にとっても、長期休職に比べれば短期の休養のほうが影響は小さく済みます。
休むかどうか迷ったときには、会社の産業医や保健師に相談してみるのもよいでしょう。もし社内に産業医や保健師がいない場合は、心療内科にかかって相談してみるのもよいと思います。
具体的な休み方と伝え方
実際に会社を休むときには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
まず、伝え方はシンプルで構いません。
「体調不良のためしばらくお休みをいただきたいです」
と伝えれば十分です。調子の悪い理由と状況を事細かに説明する元気はないことが多いですから、「詳しいことは少し休んで元気になってから相談させてください」と付け加えておくとbetterです。
休職制度を利用する際には診断書の提出が必要となる会社が多いです。主治医や産業医に相談しながら、必要に応じて準備していきましょう。
休んでいる間は「自己啓発や仕事の勉強をしなければ」と焦る必要はありません。まずはしっかり休養し、必要であれば治療に専念することが回復への近道です。生活のリズムを整えること、安心して過ごせる環境をつくることが、何よりも大切です。
まとめ
メンタル不調で会社を休むかどうか迷ったときは、
・仕事が手につかない
・気分の落ち込みや不安が続いている
・睡眠や食思不振など体の不調もでている
といったサインを一つの目安にしてください。
早めに休むことは甘えではなく、回復を早めるための大切な選択です。迷ったときには、一人で抱え込まず、主治医や産業医に相談してください。あなたの体調を第一に考えることが、結果的に仕事や職場にとっても良い方向につながります。

