健診結果の見方①血圧

毎年受ける健康診断ですが、健診結果の判定に疑問を覚えたことはないでしょうか?「要精密検査」と書かれているから病院を受診したけれど、特にやることはないと言われて治療もなかった、ということはないでしょうか。各検査項目について、どういう所見だったらどうするべきか、産業医の視点で説明します。

今回は血圧について取り上げます。

健診で血圧が高めと言われる人は比較的多いですが、一方で健診のときだけ一時的に高くなっていることもあり、結果の解釈には注意が必要です。

血圧とは?

血圧とは心臓から体に血液を送り出すときの圧力です。高ければ勢いよく体に血液が行き渡ります。こう聞くと高いほうがよいように思いがちですが、あまり高いと血管の壁に過剰な負担がかかり、動脈硬化が進行する原因となります。

血圧には2つの数値があります。

収縮期血圧:心臓が収縮して血液を送り出すときの圧力

拡張期血圧:心臓が拡張しているときに血管にかかっている圧力

血圧高値を放置すると、血管の壁に過剰な負担がかかり続け、動脈硬化が進行します。動脈硬化が進行すると将来、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血を発症するリスクが大きく上昇します。血圧は急に180〜200mmHg程度に上昇したようなケースでなければ、ほとんど症状はありません。ですが症状がなくても裏では動脈硬化は着実に進行しています。

血圧の基準値

日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」では、診察室血圧の基準を以下のように定めています。

  • 正常血圧:収縮期 <130 mmHg かつ 拡張期 <80 mmHg
  • 高値血圧:収縮期 130〜139 mmHg かつ 拡張期 80〜89 mmHg
  • 高血圧:収縮期 ≥140 mmHg または 拡張期 ≥90 mmHg

健診では、血圧が140/90 mmHg以上だと「要受診」や「要精密検査」と判定されます。

高血圧治療ガイドラインでは、家庭血圧の基準も設けられています。家庭血圧とは字の通り、自宅で測定した血圧です。診察室血圧は家庭血圧よりもやや高く出ることが多いとされます。家庭血圧であれば135/85mmHg以上が高血圧の基準です。

健診の血圧が高く出やすい理由

診察室血圧と家庭血圧で別々の基準値が設けられているのは、診察室血圧は一般的に家庭血圧よりも少し高めに測定されることが多いからです。病院では緊張していたり、病院に行くために歩いたあとであることが多かったりするためです。また、直前にカフェインを摂取していたり、喫煙していたりしても血圧は高く出ます。

血圧が高めだったら

1. 家庭血圧を測ってみる

健診や病院で測る血圧は、一時的な緊張で高くなることがあります(白衣高血圧)。
家庭で測定することで、より実際に近い数値がわかります。

  • 朝起床後1時間以内、排尿後、朝食前、服薬前に測定
  • 夜は就寝前に測定
  • 数日間の平均をとるとより正確
2. 生活習慣の見直し

血圧が高めの方は、以下の改善が効果的です。

  • 塩分を控える(1日6g未満を目標に)
  • アルコールは控えめに
  • 適度な運動を続ける(ウォーキングなど)
  • 十分な睡眠をとる
  • 喫煙習慣があれば禁煙を検討
3. 医療機関を受診するタイミング
  • 家庭血圧で135/85 mmHg以上が続く場合
  • 健診で140/90 mmHg以上と判定された場合
  • 頭痛、動悸、息切れなどの症状がある場合

血圧が高かった場合の生活習慣の見直し

  • 減塩:塩分の摂取は血圧の上昇を促進します。塩分摂取を控えましょう。
  • 適度な運動:適度な運動は血圧低下に役立ちます。少し息が上がるくらいのウォーキングがよいとされています。
  • 体重管理:体重が多い場合は減量することで血圧低下が認められることがわかっています。
  • 飲酒・喫煙の影響:飲酒や喫煙は血圧の上昇に寄与します。飲みすぎないようにし、また喫煙習慣のある方は禁煙を検討しましょう。
  • 睡眠の重要性:睡眠不足も血圧にはよくありません。適切な睡眠が取れるよう気をつけましょう。

精密検査が必要な場合

多くの高血圧は上記のような生活習慣と遺伝的な要因で発症しますが、時に血圧を上昇させる他の病気が原因であることがあります。

  • 若いときに発症する高血圧
  • 急速に進行した高血圧
  • 心臓や腎臓の異常など、血圧以外の異常を伴う高血圧

以上のような場合は専門医を受診して精密検査を受けることが望ましいでしょう。

その考え方、ちょっと待って!

「症状がないからまだ大丈夫」、「血圧の薬は一度飲み始めると一生飲まないといけないからまだやめておこう」。この考え方は危険です。詳しくは別の記事で説明します。

まとめ

健診で血圧が高めであった場合、放置せず、家庭血圧を測定するようにしましょう。それでも高かった場合は生活習慣を見直したり、病院を受診するなど適切な対応が必要です。症状がないからといって油断は禁物です。早めの対応が健康の秘訣です。